2025年7月23日から25日までホテル雅叙園東京にて開催される第31回日本遺伝子細胞治療学会学術集会(JSGCT2025)では、「国際貢献と新たな時代の幕開け」をテーマとし、国内外の研究者や医療関係者が集い、遺伝子・細胞治療の最新の研究成果や課題について議論します。近年、がんや遺伝性疾患を対象とした治療方法の進展が著しく、製造技術や品質管理、安全性の向上が重要視される一方、国内開発の停滞や人材不足といった課題も浮き彫りになっています。JSGCT2025は、国産技術の海外展開や規制当局の国際協調を推進しながら、産官学の垣根を越えた実践的かつ将来志向の対話が行われる、国際的な連携と情報発信の場となっています。
Featured Presentation
アフタヌーンセミナー#3: ウイルスフリーの細胞加工技術による最先端遺伝子・細胞治療
2025年7月23日(水) 15:15-16:15 第3会場(華しらべ)
初代ヒト細胞のゲノム編集は、がんや遺伝性疾患など、さまざまな疾患に対する革新的な治療法の実現に向けて、大きな期待が寄せられています。しかし、ウイルスを使った細胞加工には、高コスト、製造期間の長期化、さらにはウイルス配列が宿主ゲノムに組み込まれることによるリスクなど、いくつかの課題があります。こうした背景から、ウイルスを使用しないゲノム編集アプローチが、近年、基礎研究から臨床応用に至るまで幅広く注目を集めています。
MaxCyte®のエレクトロポレーション技術は、DNA、mRNA、RNPといったさまざまなゲノム編集ツールを、多様な初代細胞や幹細胞に対して効率よく導入できる非ウイルス性手法です。本セッションでは、異なるタイプの遺伝子編集ツールを初代細胞に導入する際の注意すべきポイントや工夫について解説します。また、ノックアウトおよびノックイン応用において、高い編集効率と細胞生存率を維持した、ヒト表皮角化細胞、iPS細胞、NK細胞、活性化T細胞などの代表的な事例もあわせてご紹介します。
Presenters


Poster presentation
#LP5 (ポスター): Highly Efficient Engineering Of Difficult-to-Transfect Immune Cells Using MaxCyte® Electroporation (MaxCyte® エレクトロポレーション技術による免疫細胞への効率的遺伝子導入)

Poster presented by ピーター ジー PhD, APACリージョナルマネジャー, フィールドアプリケーション, MaxCyte
2025年7月24日(木) 10:55-11:35
細胞治療はさまざまな疾患に対する有望な治療法として注目を集めています。実際、T細胞、NK細胞、マクロファージといった免疫細胞は、がん、自己免疫疾患、変性疾患などの治療に活用されています。こうした免疫細胞の治療効果と安全性をさらに向上させるには、遺伝子導入が困難なこれらの細胞に対して、バイオ分子やゲノム編集ツールを高い効率で導入することが求められます。この課題に対し、MaxCyteはExPERT™エレクトロポレーションシステムを用いて効率的に設計された細胞操作ワークフローを開発しました。これによりRNA、DNA、CRISPR-Casヌクレアーゼなどの分子をさまざまな細胞タイプに高効率で導入することが可能となっています。本ワークフローを活用することで、初代ヒト免疫細胞に腫瘍標的型受容体を発現させつつ、高い細胞生存率と機能性を維持しながら、効率的に細胞加工が実現できます。特に、mRNA、トランスポゾン/トランスポザーゼ発現用DNA、あるいはCRISPRリボヌクレオタンパク質(RNP)および相同組換え修復(HDR)テンプレートを高効率で導入することにより、T細胞、NK細胞、マクロファージといった遺伝子導入が困難な免疫細胞に対して、CARやTCRの一過性および安定的な発現を実現しました。さらに、このワークフローは治療用途に適した細胞加工スケールへのシームレスな移行にも対応しています。